M&Aの「よくある疑問」Q&A

M&Aの「よくある疑問」Q&A

M&Aへの誤解やよくある疑問を解消し、M&Aの実情をより深く知っていただく機会としたい。

Q1 M&Aは吸収合併して会社が消滅するのか?
 中堅・中小企業のM&Aはその大半が会社はそのままで存続し、株主(オーナー)が変わるだけだ。そのため、社名は変更せず、社員が移籍することもない。周囲から見るとM&Aをしたかどうかがわからないため、影響はとても少ない方法ともいえる。あくまで会社のこまでの歴史や大切にしてきたことを引き継いでいくというものになる。

Q2 M&Aは、先行きが不安で立ち行かなくなった企業がやるものではないのか?
 大半のケースで、黒字の企業が譲渡をしている。現在のM&Aは「企業再生」というよりは、「事業の存続と発展の手段」という意味合いが強く、黒字企業が「事業が順調なうちに行く末の目途をつけておこう」と考えての相談が多い。

Q3 M&Aをすると必ず社長は引退しなければならないのか?
 そうとは限らない。最近では「成長戦略型のM&A」もある。比較的若い経営者に多い相談で、株は譲るものの、現社長が譲渡後もそのまま社長を継続するケースもある。社長自身が思い描く理想像に早く確実に近づけるため、大手と手を組んで発展をしていくM&Aだ。

Q4 M&Aは社長の年齢が高くなってから考えるものではないか?
 最近では30代や40代の経営者からも相談が多くなっている。前述した成長戦略型がその例だ。社長自身の年齢というよりは、時代に合わせて同会社のかじ取りをすべきかと考える経営者も増えている。それが会社の為、社員のために本当に必要なことであれば年齢は関係ない。年齢が若いから考えなくてもいいというものではない。

Q4 社長(オーナー)個人のメリットとデメリットは何か?
 メリットとしてよく言われるのが、「連帯保証からの解放」と「創業者利潤の確保」だ。年齢と連帯保証の額を見比べて、「これはいつ返済できるのか…」と考えたことのあるp-ナーは多いだろうそこから解放され、非常に身軽になったといわれるケースは多い。
 それ以外には会社の状況にもよるが、「社長一人が背負っていた負担(営業・管理・採用その他の数多くの業務)を減らすことができた」という意見もよく聞く。
 逆にデメリットは、これまですべてのこと(経費の使い方などを含めて)を自分の判断で行えたが、M&A後は誰かと一緒に相談しながら進めていかなければならなくなったという点だ。

Q6 M&A後、すぐに取引先を切ったりしてしまうのではないか?
 譲渡企業のオーナーの本意ではないことは起こりえない。そもそも提案段階で譲渡側の意見や条件を伝えて、それを前提として手を挙げる候補先を募っていくため、大事にしなければならない部分をむやむに変更することはない。仮にそうしたことが起こっているとすれば、提案・交渉時にその点がしっかりと確認されていないということだろう。

Q7 M&A仲介会社に相手探しを依頼すると、情報がばらまかれてしまうのではないか?
 候補先への提案は、譲渡側のオーナーから許可の取れた先のみに行うのが一般的だ。また、詳細な資料は秘密保持契約書を交わした相手のみに提示し、その企業でもしかるべき役員層のみ閲覧可能だ。原則として社員の目に触れることはないため、情報が広がるということも考えづらい。

Q8 不動産や経費等、オーナー個人と会社のものが混在している場合はどうしたらいいか?
 基本的にはM&A後にどちらが所有すべきかを整理し、譲渡日までに全て分けておくことが大半だ。この点も事前に動く必要はなく、しかるべきタイミングで適切に対応していくため、コンサルタントと相談して決めていくのが良い。

Q9 毎年、税理士に株価を計算してもらっているが、それとM&Aの株価は違うのか?
 これらはまったくの別物だ。顧問税理士が評価するのは相続税を意識した評価であり、M&Aとは別の計算になる。詳しくは企業評価の章を参照いただきたいがノウハウと実績をもとに、過去のデータを用いてしっかりとM&Aでの株価を計算してもらうべきだろう。

Q10 一度進めたら、もう引き返せないのではないか?
 中小企業の場合は、株主であるオーナーが最終契約書へ押印するまでは、いつでも引き返すことが可能だ。最後までしっかり吟味したうえで決断をしていただきたい。

投稿者プロフィール

Canbull.M&A
Canbull.M&A元M&Aアドバイザーのライター